2011年04月29日

田園

20110417133711.jpg昨日、仙台フィルの「復興定期」を聴いてきました。
6月まで定期が中止になった代わりに、これから6月まで無料で行われることになりました。
場所は常盤木学園のシュトラウスホール、300人のちいさなホールです。


ちいさな編成だけど、オーケストラが揃って演奏するステージ。
考えてみれば、18世紀に生きたベートーベンは、これくらいのステージでオーケストラを指揮して、自分の作品を発表していたはず。
ワタシたち被災者にとっては、
きちんと服装を整えてコンサートにいって、仙台フィルの音楽をたのしめるようになった、というだけでも感激でしたが、
団員のみなさんも、
久しぶりに燕尾服で交響曲をフルで演奏した感動が、よく伝わってくる演奏でした。
もしかしたら、障害をもった芸術家として苦難の人生を送った、ベートーベンの音楽の原点に通じる、という演奏会でもあったかもしれませんね。


第1回の昨日のメインプログラムはベートーベンの交響曲「田園」。


実は、ワタシの人生最初のクラシック音楽の記憶が「田園」なんです(笑)
まだ3歳前に母につれられて音楽教室に通っていたのですが、
その発表会がこのベートーベン「田園」の最終楽章「あらしのあと」、だったんです(笑)
当時の県民会館ステージで、集団でオルガンを弾いただけなんですが(笑)、あのメロディーは頭に残ってたんでしょう。
家でずっと「らーらーららーらーららーららーららー」と歌っていたら、父が応接間のステレオで、「これのもとはこの曲なんだよ」と、カラヤン指揮ベルリンフィルの「田園」をいつも聴かせてくれたんですね。
子供心にも、あの出だしのメロディーがとても優しく、田舎の森や畑のイメージを膨らませながら、楽しく聴いていたのを覚えています。


あの、今はない生家の古びた応接間、
木でできたステレオ、
まだ若い父が抱っこしてくれた匂い、
紙のアルバムジャケットのベートーベンの顔と、
ベートーベンが田園を散歩する挿し絵……。
山下さんの指揮で奏でられる、この音楽に、いろんなことが蘇ってきて、
ワタシの胸はいっぱいになりました。



ワタシたちはこの大災害で、
たしかに多くのものをなくしましたが、
でも同時に、
たくさんのものを得たのではないでしょうか。
そんなことを感じました。


音楽の力。
幸せな夜でした。
posted by SPC at 07:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | ぐらにゅー

2011年04月11日

茶色い荒野

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仙台フィルの復興マラソンコンサート、毎日順調に行われています♪
ワタシたちSPCスタッフも、お手伝いしています!

ここ仙台駅前アエルでは、ちょうどお昼休みの時間に、毎日コンサートをおこなっています。
みなさん、足をとめて演奏を聞いてくださり、そして、大きな拍手をしていただく姿に、
ありがとうございます!共にこれから頑張りましょう!!
と、握手したい衝動にかられてしまうワタシです(笑)


昨日は大変よいお天気だった仙台。
アエルの29階エルソーラのまどから、ついいつもの癖で、若林区の我が家方面を見て、言葉をなくしました。
霞目飛行場から向こうは、すべて茶色の荒野。
たまに木が一本、ぽつんと残っているだけで、なにも、ありません。
なのにこちら側の景色は、いつもと同じ、仙台の街。
線を引いたように、天と地が分かれていました。


若林区民のワタシたちの間では、
東部道路があの恐ろしい津波を止めてくれたという話はしているけれど、
もし東部道路がなかったら、
津波は4号線仙台バイパスまで、いやそれより中心部にも達したのではないか、と、この眺めから思われました。


それにつけても、もう1ヶ月たつというのに、
被災地のワタシたちの心に、どんどんひろがり続ける喪失感。
どうしたらよいのか、
ワタシたちには、わかりません。



頭を空っぽにして
ただ今の、目の前のことに夢中で体を動かす。
それしかないのかな。
燕尾服じゃない、お揃いのトレーナー、
空調のきいたステージじゃない、風の吹き入るロビー、
演奏をする団員の顔一つ一つに、いつもと違う真剣さがあって、心を打たれます。



浜辺にひろがる茶色い荒野も、
みんなの心の茶色い荒野にも、
美しい緑が戻る日が必ずきます。
posted by SPC at 17:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | ぐらにゅー